シリーズ 第5回防衛省説明会質疑応答 その11.「なぜ、環境アセスメントをしないのですか?」
本シリーズの最終回です。
2019年2月13日の防衛省説明会での最後の質疑応答。下記のURLをクリックして、動画(8分45秒)をご覧ください。
https://drive.google.com/file/d/16FGGljDVeOiAGKqe80bFjNYi5HhycpWg/view?usp=sharing
質問者は、次のように問いただしています。
Q:防衛省は現況調査を行っており、希少動植物がたくさん見つかっているのは、とうにご存知の通りだ。
いま、前勢岳でゴルフ場・リゾートの開発計画があるが、そこでは、事業者が環境アセスメント(環境影響評価)を行うために、2年前に計画段階の配慮書を作り、今年になって方法書を公表している。その都度、住民に説明し、意見を求め、それに答えながら進めている。さらに、これから2年かけて環境影響評価を実施し、その結果を住民に知らせ、質問を受けながら、開発に進む。その過程で、私たちが要求してきたことの一部も、取り入れてもらっている。
一方、国が進める仕事・公共工事で、住民の意見を全くというほど聞かないで開発を進めることが、いま、堂々と行われている。
国こそ、住民の意見を、良く丁寧に聞いて進めるべきだ。ところが、50ヘクタールにも及ぼうという開発を、環境アセスにかければ2年以上かかるだろうが、それを待たずにどんどん押し進めようとしている。住民の生活、自然に重大な影響があることは、あなた方は良く知っているのに、飲料水、農業用水に対する影響、貴重な亜熱帯の動植物への影響を、一言も、具体的に説明しないまま、進めようとしている。
説明しませんか?そうすれば環境アセスこそ必要ということになるだろうが。説明しますか、しませんか?
これに対して、防衛省は、次のように答えています。
A:我々は、環境アセス条例の対象となる事業には、ならないと考えている。しかし、環境を無視して進めるわけではない。先ほどから述べているように、希少種等が見つかれば、移植する対策も行っていく。
これだけです。相変わらず、水の問題については、全く触れません。
これに続くやりとりは、以下の通りです。
Q:希少種は、適した環境があって初めて生きられる。その環境を潰そうとしている。それで移植したとしても、同じ環境でなければ生きられるはずがない。
特別天然記念物のカンムリワシは、あの場所を餌場にし、営巣もしている。ところが、重機の音が響けば、カンムリワシはいなくなり、営巣していればひな鳥は放棄される。彼らにはテレトリーがあり、ほかのカンムリワシのテレトリーに入れば、追い出されてしまう。この特別天然記念物、石垣市の鳥をどうやって守るのか、具体的な対策を示してほしい。
それには、住民とやりとりしながら、自然環境を守る方法を丁寧に考える環境アセスが必要だ。あなた方の環境現況調査は、環境アセスでも何でもない。自然と生活に重大な影響があるのに、全く配慮していないではないか。
A:環境について、現場で確認できる問題があれば、有識者にも確認しながら、対策を講じていく。
Q:具体的なことは、何も言っていない。
A:確認されたときに、具体的にきちんと対策を講じていく。
Q:今まで調べてきたではないか。
A:現在工事を着手しようとしているところでは、これまで営巣などは、確認されていない。今後は、周辺の木がまだ繁っているところなどもモニタリングを続け、工事を進める上で必要とあれば、対策を講じていく。
Q:防衛省が調べ、結論を出し、進める、という事で、住民とのやりとりは一切ない。説明も無ければ、提案も質問も受け入れる姿勢が全くない。それでなぜ、島の自然と人々の生活に寄り添ったと言えるのか?
A:我々は関係法令に基づいて必要なものはやっている、その中でこのような説明会も開いて説明しているので、ご理解いただきたい。
Q:理解できるわけがない。めちゃくちゃではないか。全く住民との間でキャッチボールも対話もしないで、どうやって開発できるのか。
A:無視しようとしているわけではない。我々は必要な対策は、有識者等のご意見も伺いながら、きちんとやっていきたいと思っている。
Q:具体的に言ってほしい。
A:まだ、具体的に、営巣とか確認されている状況ではない。
Q:希少種はたくさん見つかっていると言ったではないか。
A:現在工事をしようとしているエリアには存在しない。今後拡げていく中で、工事前に希少種等が見つかれば、当然その対策を行わなければならないと考えている。
Q:既に見つかっているのだから、それらにどういう対策を取るのか、ちゃんと説明すべきだ。
司会:申し訳けありません。時間ですので、これで終了させていただきます。本日はありがとうございました。