シリーズ 第5回防衛省説明会質疑応答  その6.「基地が出来ると、米軍と共同訓練や共同使用もするのでは?」


 2019213日の防衛省説明会での質疑です。以下のURLをクリックして動画(44秒)をご覧ください。

https://drive.google.com/file/d/1Lux-Hqe8Z8SpYZWJJa8RdHSqheLDfbs2/view?usp=sharing



 質問者は、「与那国町に駐屯地が出来たあと、防衛省が水面下で日米共同の離島奪回訓練の実施を打診し、外間町長が断った」という報道(朝日新聞2018915日付)を取り上げて 


 (1)今は米軍との共同使用や共同訓練の計画はないと言っているが、基地が出来ても絶対ないのか?

 (2)自治体が断れば、米軍は来ないのか?

 (3)日米地位協定がある以上、米軍から申し入れがあれば断れないのではないのか?


と尋ねています。


 これに対して、沖縄防衛局の伊藤晋哉企画部長は、与那国島で共同訓練を打診した事実があったのかどうかには、一切触れていません。

 また、自治体が断れるのか、という質問にも、答えません。

 「石垣島で米軍と共同訓練をするとか、米軍が配置するという計画は、全くない」と言ってはいますが、これは、毎度おなじみの「現時点では...ない」答弁です。「基地が出来た後どうなるか」に答えたものではありません。

 質問(3)については、「日米地位協定があるから米軍が日本のどこにでも部隊を配置できるということにはなっていない」と言っていますが、これは、現実に反する発言です。日米地位協定の第二条1(a)は、「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。」と明記していますから。

 おそらく、伊藤部長は、「個々の施設・区域については日米合同委員会で決めるのだから」と言いたいのでしょうが、この委員会は、在日米軍の幹部達と各省庁の高級官僚が都内の米軍施設に定期的に集まって、米軍の意向をどう実施するかを協議する非公開の場です。日本側が「ノー」と言えるようなところではありません。

 伊藤部長は、発言の最後で、珍しく、「計画にはないし、今後もない」と言っています。しかし、これは、「石垣島に米軍を配置することはない」ということで、質問の「共同訓練、共同使用」とは別のことです。

 米軍は、沖縄本島の米軍基地についても、ミサイル攻撃に対する脆弱性を感じていて、対中有事には、在沖米軍をいったんグアム以遠にまで撤退させる計画と言われています。まして、さらに前線にある小さな島に米軍基地を造ろうなどとは、考えてもいないでしょう。それを見越して「今後もない」と断言してみせたのでしょうが、「米軍配置」についてだけこう言ったことは、「一時的な共同訓練、共同使用なら今後あり得る」という意味にも聞こえます。

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