花谷史郎市議、中山市長の「断じてミサイル基地ではない!」のゴマカシを痛打


 中山義隆市長は、3月の市長選に向けた222日の総決起大会で、「ミサイル基地は絶対に許さん!」と言いました。「あれっ?」ですよね。だって、「陸自配備の必要性は理解してる」と言っている人ですから。

 では、実際にどう言ったか、じかに聞いてみましょう。以下をクリックして、短い動画(55秒)をご覧ください。

 https://drive.google.com/open?id=119lzP9bQnXM0DHp4nEp-gR1XHqB0Lqq3

(これは、中山さんの総決起大会の映像 https://youtu.be/XLb8F8hrW-k から抜粋したものです。)

 なるほど、「絶対に許さん!」と叫んでいます、しかも、凄い勢いで。でも、中山さんは、自分の議論・主張の基礎を、「他国の国土に直接ミサイルを打ち込んで攻撃できるものだけがミサイル基地だ」という断定の上に置いています。これを認めれば、「防衛省が石垣島に計画を出している駐屯地は、断じてミサイル基地ではない」、だから、「ミサイル基地だったら、私が反対する」が、そうではないから、直ちに反対はしない、ということになるわけです。

 では、次の動画(21秒)を見てください。327日の石垣市議会での花谷史郎市議の質問と、中山市長の答弁です。

 https://drive.google.com/open?id=1lWdj9mPoYmzxhcPpP523v3_SLOKl2ZjV

 (これは、市議会記録の映像 https://youtu.be/OS0L7HjrUhU の抜粋です。途中の、本質的でない部分をカットしています。)

 花谷さんは、311日の市議補選で初当選したばかりの新人議員ですが、実に堂々としていますね。しかも、この質問は、クリーンヒットです。

 花谷さんが取り上げたのは、全米で購読者数の1位、2位を争う大手全国紙ウォールストリートジャーナルが、南西諸島への陸自配備問題を取り上げた記事の見出しに、「日本はミサイル基地を建設している」と書いた事実です( https://www.wsj.com/articles/japan-is-building-missile-bases-to-confront-rising-threat-from-china-1513765804 写真はweb版の見出し)。

 

中山さんの答弁のトーンが、先の動画と比べて、ひどく低いですね。「自分の考えで『ミサイル基地ではない』と言った」、「記者がミサイル基地と書いたからといって、抗議するつもりはない」と言っています。花谷さんが言うように、「ミサイル基地ではない」は、個人的見解だと認めていますね。挙句の果てに、「定義については、人それぞれ違うでしょう」と、「定義の違い」に逃げ込んでいます。

 それもそのはずです。このウォールストリートジャーナルの記事は、ゲールさんという記者が、石垣市から発信したものです。見出しの背景に使われているのは、一昨年の2月にPAC3が配備されたときの南ぬ浜新港地区の写真です。しかも、記者は、陸自のミサイル配備計画の「強い支持者」である中山市長にインタビューして、この記事で紹介しているのです。自分を大きく取り上げた記事が、自分の言うことに反して、計画中の駐屯地を「ミサイル基地」と呼んでいる!これでは、全くサマになりませんよね。

 「定義の違い」で逃げていますが、ゲール記者の定義と中山さんの定義が違っているだけではありません。実は、中山さんの定義に反して、「他国の国土に届かない」地対空ミサイル、地対艦ミサイル、ミサイル迎撃ミサイルなどの基地を「ミサイル基地」と呼んでいる例は、ほかにもたくさんあるのです。当FBページの「シリーズ『ミサイル基地』」

  http://loveishigaki.jp/archive/FBposting/MissileBaseSeries.html

をご覧ください。

 では、そのものずばり、辞書はどう定義しているでしょう? Collins English Dictionaryのミサイル基地(missile base)の定義は、「ミサイルを格納し、発射するために使われる軍事基地」(a military base used for storing and firing missiles) です。これは、多くの用例と合う、あたり前の定義です。

 日本語辞書には定義が見当たりませんが、多分、読んで字のごとく「ミサイルの基地」だからでしょう。確かに、「犬小屋とは犬を飼う小屋のこと」のような定義は、ほとんど意味がありませんから。でも、このあたり前の定義は、中山さんの定義とは、全く合いません。

 Wikipediaによれば、「定義(ていぎ)は、一般にコミュニケーションを円滑に行うために、ある言葉の正確な意味や用法について、人々の間で共通認識を抱くために行われる作業」です。であるならば、コミュニケーションが特に大事な政治家は、広く共通認識があるような定義を使うべきでしょう。

 ですから、中山さん、「他国の国土を攻撃できるミサイルの基地だけがミサイル基地」という定義を記録した文書、音声、映像などを、ぜひ示してください。もちろん、2月の総決起大会以前のものが望ましいですが。

 もし、そういうものがなかったら、あなたが使った定義には一般性がなかったことを認めてください。そして、世間で通用しない「定義」で、「ミサイル基地には反対ですから、安心して支持してください」とか、「対立候補は、ミサイル基地でもないものをミサイル基地と言って、みなさんをだましています」などの印象を与えたことを、謝罪してください。それが、政治家として、当然の矜持ではないでしょうか。



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